メタモルフォーゼの縁側
75歳の老婦人が出会ったもの、それは少年たちの恋模様
亡き夫と通った思い出の喫茶店が閉店し、立ち寄った書店では料理本コーナーがいつもと違う場所に。過ぎ去っていく時間に寂しさを覚えた時、彼女の目に止まったのは1冊のコミックス――。75歳にしてBLを知った老婦人と書店員の女子高生が織りなすのは、誰もまだ見たことがない日々でした。(説明文より)
良い。
圧倒的に細かい描写で日常のリアルを押し出してくるのにそれが全然押し付けがましくない。舞台となる町の風の匂いが感じられるような優しい雰囲気。
おばあちゃんが可愛い。キッスのシーンでつい口から出る「あらー…」が可愛い。年配の人ならではの、いつ死ぬか分からないからぐいぐい生きていく感じと、残り少ない人生のことを考えてちょっと切なくなったり、でもどこかでどうでもいいと思ってたりする感じのバランスがいい。
少女もいい。コミュ症というほどではないが自分をさらけ出して人と仲良くすることが難しい少女っぽさがいい。思春期ってそう、羞恥心とか虚栄心とか自尊心とか色々なものが邪魔してうまく生きられない。歳取ると色々どうでもよくなるから、「そういえば少女ってのはこういう生き物だったな」って思い出した。それから自分って人とは違うのかな…という漠然とした不安のような焦燥感のような、あれもいつのまにか消える。
ふたりが仲良くなるきっかけのBL漫画がところどころ挿入されるんですが、それも本編の気持ちの流れに沿うような沿わないような絶妙なところを付いてくる。ていうかそのBLも読んでみたいぞ……?
今なら全話読めます。単行本出たら下げられるタイプかしら?それとも1巻分は置いておいてくれるタイプかな?まあ買うからいいけど。
5月に一巻が出るようです。